「建築のちから」の中に「アアルトの窓辺」という章があります。
今の時代に建築家が建築を設計する意義について著者がアアルトの窓辺を題材に論じたものです。
アルヴァー・アールト(アルヴァ・アアルトとも)は北欧フィンランドを代表する建築家です。
修士2年の時、この建築家を題材に修士論文に取り組みました。この章を読んでいると、論文を書く以上実際に行って体験してみなければ分からないと、思い切ってフィンランドへ行ってきた時の記憶が蘇ってきました。
写真はその時訪れたアールトの別荘「夏の家」です。
「アアルトの窓辺」で取り上げられているのはマイレア邸ですが、私はこちらの夏の家がアールトの住まいへの純粋な思いが出ているような気がしています。
アールトは時代に応じて建築スタイルがどんどん変わっていった建築家で、この夏の家は丁度中期頃のものだったと思います。
モダニズムの影響を抜け出して、赤レンガを多用し始めた時代、この家の中庭の壁には色々なパターンの赤レンガが使われていて実験住宅としての意味もあったようです。
夏の家は人間の自由のために建築を考え続けたアールトが簡素ながらに実現した場所だと思います。
アールトのことを書き始めるときりがありません。自分が書いた論文のことも思い出しながらぽつりぽつりと書いていけたらと思います。