加速度応答スペクトル

加速度応答スペクトル
出典:伝統的な軸組構法を主体とした木造住宅・建築物の耐震性能評価・耐震補強マニュアル(第3版)
限界耐力計算を勉強していると「加速度応答スペクトル」という単語が出てきます。地震力は加速度×質量で求められるので結局のところ建物の周期と地盤種別に応じた応答加速度を求める必要があり、その関係性を加速度応答スペクトルといい、上の図で表されます。上の図で黒い太線で示されているものが建築基準法が想定している極めて希に(数百年に一度程度)発生する地震の応答スペクトルを示しています。地震の大きさは震度やgal(cm/sec2)で表されますが、上の図を見ると大体1200~1300galとなります。赤い線が阪神淡路大震災の地震動で2500galを超えています。東日本大震災や能登半島地震でも2500galを超える地震動が発生しています。建築基準法の想定している地震動の倍近い加速度です。実際に建物に被害が出るかは建物の周期にもよるので一概には言えませんが、それでも基準ぎりぎりで設計することの怖さを知ることができます。特に限界耐力計算はその名の通り建物の変形の限界値を求める計算方法なので数値上クリアできるからと目標とする耐震性能を安易に下げるのは危険だなと改めて思いました。これから来るであろう南海トラフや糸魚川静岡構造線による地震に備えてもっともっと耐震について勉強していかなければなりません。