
板の間 ここは玄関土間を上がったところにある板の間です。特に用途があるわけではありませんが、玄関土間と応接間の間にあって空間に奥行を与えてくれる大切な場所です。ここの壁はラスボードが張ってあり、左官で仕上げる予定でした。ただ、左官が思っていたほど綺麗に仕上げられないこともあり、予定を変更して壁に板を張ることにしました。


下地造りから この壁は断熱壁で横に胴縁が入っていません。板は縦に張りたいので上と左右に見切材を入れて横胴縁を取り付けました。見切り材はしゃくりを入れて板を差し込めるように加工しました。

歪みに苦戦 壁の寸法を測っている時に分かったのですが、この壁の上にある梁が実は右のほうに少し上がっていて右の大黒柱は左に傾いています。張る板をこのなりに合わせいくのはとても時間がかかるので見切材を斜めに加工して板を張る部分は四角になるようにしました。

下地と見切材の取付け完了 写真左の柱もやはり傾いていて、見切材の見付け範囲では対応できなかったので目板を張って誤魔化しました。これで何とか板張り前の下地作りが完了しました。



羽目板づくり 下地作りが終わったので次は板張り用の羽目板を作っていきます。予め桟積みして自然乾燥させていた杉の荒板をプレーナーに通したあと相じゃくり加工をしていきます。合計26枚ひたすら溝切で加工しました。


古色塗装 板の加工が終わったので板張りの前に古色塗装をしました。張ってから塗ると板が乾燥して収縮したときに相じゃくりの溝の部分が白木で見えてきてしまうので手間ですが平場で一度塗ってしまいます。

板を張る 長さを測って板を張っていきます。簡単そうですが板一枚一枚が完全に平で真っすぐというわけではないので微妙にずらしたりして調整しながら良い塩梅を見つけて張っていきます。

黒い板の間と白木の開口 板張りが終わりました。天井、壁、床が黒で統一された黒い板の間の完成です。正面の化粧柱は塗り分けが難しいので鴨居と建具も白木にして黒い板の間の中央に白木の開口を据えました。この開口の先にはどんな空間があるのだろう、そんなことを思ってもらえると嬉しいです。