既存建具を新しい間口に合わせる
お付き合いのある建具屋さんから綺麗な帯戸を頂きました。断熱エリアと客間(おえ)を仕切る建具としてその性質と高さがぴたりと合っていたのでこの部分に使わせていただくことにしました。もともと一般的な6尺の柱間に入っていたもので改修で入れた新しい柱間(5尺)には合いません。そこで建具を一度分解して細く切り縮めることに挑戦してみました。結果的には古いものを直すことや建具とういう精度の高い加工が必要なものを調整することの難しさを痛感することになりました。


不要な部分をカットする
まずは建具が入る柱と柱の有効寸法を測り、めし合わせの縦框部分の重なり寸法を考慮して全体の仕上がり寸法を出します。その仕上がり寸法からほぞを加工する分少し余裕を持たせて一気にカットします。縦框にきつく差さっていたホゾを何とかして取出し、このホゾと全く同じものを新しく加工していきます。


ホゾ加工をしてみる
既存のホゾを真似て実際に加工してみました。なんとなくは出来ましたがやはり差してみるとうまく最後まで入りません。あまり削りすぎて緩くなっては意味がないのである程度で妥協しました。


建具調整の難しさ
写真ではうまくいっているように見えますが、めし合わせの縦框がずれていたり、ホゾ差しの胴付部分が空いてしまったりと中々うまくいきませんでした。一度組んで固まった材料を年月を経て外すと反りやねじれなどが現れるのか、ホゾを叩き入れようとすると別の方が抜けてしまい収拾がつかなくなってしまいました。最終的には接着剤とクランプの力を使って強引に固めることなりました。本当はホゾのキツさだけできっちりと固まるようにしたかったのですが致し方ありません。


中障子の帯戸を調整
調整する建具はまだまだあります。この中障子の帯戸も同じ建具屋さんからいただきました。客間(おえ)と玄関土間との間の仕切として、もともと入っていた建具よりこのいただいた建具の方が空間の性質に合うため調整して入れていきます。
建具高さが鴨居内法より30mm高いため建具上端と下端をカットして鴨居と敷居溝用の凸加工をします。まずは敷居から鴨居までの内法寸法を棒(大工さんは馬鹿棒と呼びます)に写し取ります。この作業も既存の鴨居敷居がねじれていたりするのでどこを基準に写し取るか判断が難しいです。


建具に墨を出していく
鴨居と敷居の内法寸法を写し取った棒を建具の上に置いて上下どれくらいの割合でカットするか、建具のプロポーションを考えながら決めます。切断位置が決まったところで墨を建具に写し、丸鋸でカットします。


溝切で凸部分を作る
鴨居と敷居の溝に入る凸部分を作ります。写真の溝切カッターという工具を使って一気に加工します。トリマーだと反動が大きくなるので徐々に削っていきますが、溝切カッターはパワーがあるので一発で深い溝を突くことができます。


建て込む
今回は1回の加工で全て建て込むことができました。ただ1本だけ、加工して白木部分が出たせいか大きく沿ってしまって滑らせることができません。木材は加工するまでまっすぐだったのに挽き割ったりすると大きく沿ってしまうことがよくあります。難しい問題ですが、見えない部分に金属の反り止めなどを入れて対応したいと思います。