母屋に隣接する車庫棟を設計しました。1階が車庫と漬物部屋、2階が物置です。新しい子世帯の家と母屋に挟まれた狭い土地に建ちます。昭和の和風な造りの母屋と意匠を合わせ、少し和を思わせる設計としました。
長細い敷地に母屋、車庫棟、子世帯の家の3棟が連続して建つので土地に対して少し窮屈な印象がありました。そこで各世帯の間に建つこの車庫棟は軒をできるだけ深くしてボリューム感を消し、濃い陰影を与えることでその窮屈さを少しでも和らげるよう考えました。建物高さも極力低くして両世帯に圧迫感を与えないような設計となっています。
外壁は母屋の吹付タイル壁、子世帯のサイディング壁のどちらに寄せるでもなく、漆喰壁とすることでまるで昔からこの土地にあった蔵ではないかと思えるような佇まいを目指しました。
間口が狭い中で一階は車庫スペースとなるため、耐力壁の確保が問題となりました。そこで幅の狭い高耐力の耐力壁を壁柱の様にする方法を考えました。またその壁柱で耐力を確保しつつ間を収納棚とすることで十分な収納量を確保しています。
2階の床は化粧のJパネルを採用することで高い水平剛性を確保しつつ、そのまま床仕上げとしています。内部の壁は石膏ボード現しですが、物を保管するという倉庫としての機能を考えて調質性能のあるものを採用しました。
漬物部屋は安定した室温と湿度を保つため、壁、天井、床に断熱材を入れるとともに、全面板張りとすることで杉板の調質作用に期待しました。
屋根には太陽光パネルがのり、オール電化の母屋へ電気を供給しています。また万が一の災害等に備えて漬物部屋には蓄電池も設置されており、停電になった場合にはこの倉庫内で電気が使用できるようなっています。