大正時代に建てられ、長年空き家でボロボロになっていた古民家を改修しました。
築100年の古民家が持つ良さを残しつつ傷んでいる部分を直し、低予算でありながらも自然を取り入れた快適で豊かに暮らせる住まいを目指しました。詳しい計画内容については「改修計画▶」をご覧ください。
傾いてしまった建物をジャッキアップして歪みを直し、ボロボロだった屋根はすべて新しく葺き替えました。既存の構造躯体のままでは強度が不足する部分には新しく柱を追加するなど、古い柱梁に寄り添うように新しい柱梁を入れています。構造計算を行い制震ダンパーを取り付けることで耐震性能を確保しています。建物だけでなく敷地全体も鬱蒼としていた屋敷林を一部伐採・製材を行い、一部を内外装材として再利用しました。広い庭は現在爽やかな雑木が茂る庭に作り替えています。
80坪近くある建物を全て直すには普通の住宅の新築以上のコストがかかるため、大きな家の中に小さな断熱スペースを作り、寒い冬も快適に暮らせるように設計しました。建物の西側には田んぼと綺麗な山並みが広がっていて、断熱スペースにはその景色を楽しむための窓辺を設けてあります。非断熱スペースには薪ストーブを設置して火を中心に人が集まれる場所を作りました。
専門的な技術や知識が必要な工事はプロにお願いし、それ以外の工事を施主が行うことで理想の空間・愛着のある家づくりができるよう工事区分・予算配分を考えました。
大きな資金を投入して全てを綺麗に直す”古民家再生”ではなく、保存修理をベースとした最低限の改修工事による”古民家修生”によって古き良きものを次世代へと残し、プロの仕事とDIYを複合させながら心の拠り所を得る。建築費の高騰による予算超過や今後増え続ける空き家問題など、現代が抱える課題に対して、持続可能な解決方法の一例となるよう設計しました。
※「修生」とは造語で、古民家再生ほどの大仰さはなく、文化財修復のような過去を復元するものでもありません。古民家を建築として健全な状態に戻し、そこに現代の人が快適に暮らせる場を作る。古民家を後世に住み繋いでいくための最低限の修繕・模様替え工事を行うことを「修生」という造語で表しています。